(有)出水電器 島元のブログ

2008年5 月24日の記事

試聴室移転、そしてALLION 開発-7(Fin.)

[ オーディオロマン街道 ]   2008年5 月24日

究極のプリメインを目指した ALLION Ultimate T-125sv

[ ALLION 第二弾  ALLIOON Ultimate T-125sv ]

 

コストの関係でALLION Ultimate T-100で見送らざるを得なかった様々なパーツとアイデアを、そのまま捨て去るには悔いが残った。例えば、音質的には圧倒的に有利な200V切り替え式の電源、音質劣化の要因となるヒューズを排したブレーカースイッチ、試作機で用意して在庫もいっぱい抱えた高級パーツ、出川式電源のバージョンアップとフル装備、さらに回路の見直し等々。

これらを装備すれば、ロッキーマウンテン・オーディオフェストで大好評を博した試作機に並ぶ性能を誇る、究極とも言えるプリメインアンプが出来るはずである。

これは意外と早く実現する運びとなった。 なぜなら、ALLION Ultimate T-100を購入された約半数の方が200V仕様を希望され、200Vが欲しいけど我が家は200V専用回路の環境に無いなどの理由で購入を見送られる方も数多く見られた。これは早急に100V200V切り替え方式の製品をリリースしなければならないと気が急かされた。

そして、この5月新たに製品化されたのがALLION Ultimate T-125svである。その特徴は前に述べたように次の6点に集約される。

  ALLION Ultimate T-125svの特徴

  • 出力を125W/ch(8Ω)にアップ。
  • 音質重視のPRE DIRECT入力を採用。
  • 100V200V切り替え可能の特注トランスを採用。
  • 高級電解コンデンサーを採用し、さらに部品を厳選。
  • 音質劣化の原因となるヒューズを排除し、ブレーカースイッチを採用。
  • 回路の見直しと、出川式電源の全体的バージョンアップにより、S/N比を改善。

つい先日(5月21日)発売された 、オーディオアクセサリー №129 夏号、P168 では次のような評価を頂いている。

(中略:出水電器は)「無名ブランドは品質で他を圧倒しなければ生き残れない」と死活をかけた勝負に出ている。パーツ類は、高品質のコンデンサーや特注トランスを採用し、出川式電源をフル装備する。

また極めて画期的なポイントは100Vと200Vに切り替えができること。(中略) さらにT-125svはヒューズを使っていない。(注:ブレーカー方式)(中略)

自宅で試聴してみて、とにかく「聴いた感じがする」アンプだと思った。余裕綽々で一気にスピーカーをねじ伏せ、そこに色濃い実在感を漂わせる。しかも 力業だけでなく、きめが細かく、アコースティック楽器など余韻の消え際が美しい。微細な表現にこだわるゆえのパーツ厳選、これが結実しているように思え た。(記事抜粋)

また、オーディオベーシックでも好評を頂き、その記事が6月初めに発売の夏号に掲載されるので、その際はまた追加して書き込みの予定。

 

【ご挨拶】

開発及び制作依頼先の皆様を初め、様々なかたがたのご協力を頂き、ALLIONもスタートを切ることが出来ました。皆様方に深く感謝する次第です。

ALLIONの紹介と、当ブログをお読みいただければ、ALLIONのアンプ開発の背景とその思想をご理解いただけるものと思います。 弊社は小さなハンドメイドのメーカーではありますが、オーディオファンの 皆様のより良いオーディオライフに資する為にさらに努力をして参る所存です。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

試聴室移転、そしてALLION 開発 -6

[ オーディオロマン街道 ]   2008年5 月24日

ALLION  Ultimate T-100

[ 1年半の開発期間を経て誕生した ALLION Ultimate T-100 ]

 

本日は、ありがとうございました。居心地が良く、ついつい長居をしてしまいました。
異次元の世界で、思わず引き込まれてしまいました。
「トリプルコンチェルト」の大好きな旋律部分では、思わず鳥肌が立ちました。こんな体験は初めてです。
「冬」の、透明で凍てついた感じもゾクゾクしました。

当日、Tさんからは上記のような感想のメールを頂いた。しかしALLION Ultimate T-100 での再生では、TさんのCD(クラシックの有名なレーベル)からは時々高音が かなりきつく聞こえて,C-100, M-600ではそれが軽減されていたのが気になる。これはどうしても原因を究明しなければならない。

では、なぜ耳の良い村井先生や田中先生の試聴で気がつかなかったのか?この答えは簡単だ。優秀録音として知られる、またはテストCDとして常時使用しているCDではそのようなきつい音はまず無い。

しかし、これだけで説明がつかないのが、C-100、M-600ではそれほどまできつく感じなかった事だ。C-100、M-600との違いは何か?、パワーの差だけとは思えない。むしろ高域に限れば勝っている部分もある。悩みは10日ほど続いた。色々考えてみたら、決定的に違うところ(と思えるところ)は出川式平滑回路に使用しているショットキーダイオードしか思い当たらない。だがそれさえも、設計段階ではA&R社でも十分と言っていたし・・・・・。こうなれば実際に部品を交換して確認する以外にない。

さて、件のショットキーダイオードを交換した後の音である。これが何ともあっさり解決したのだ。当試聴室に来られた他の方が持参されたCDでも同じ事があった。どうやら日本でもてはやされるCDの中には高域のきついCDが多く含まれているらしい。その原因は現状の電源がノイズだらけで、その結果特に高域が失われやすい傾向とあいまって、それを補う形でこのような録音が重宝されるのだろう。これを嘘と思われる方に提案したい。電気屋さんに頼んで、ご自宅の分電盤のブレーカー二次側(コンセント等の負荷側) のFケールを全てツイストしてみて貰いたい。たったこれだけでも驚くほど高域が伸び、低域も変な膨らみもなくなりスッキリと伸びきった低域になるはずだ。つまり、普段いかに高低域が詰まった音を聴いているかと言う事に気づかれると思う。

ついつい講釈が長くなってしまったが、このTさんの”事件”が無ければ ALLION Ultimate T-100も、T-125svも、ここまで高い完成度を誇ることも、ここまで自信を持って販売に望む事も出来なかったと思う。Tさんには心から感謝している。

ともかく私の懸念事項は 解決された。しかしそれ以上に深刻な問題が”コ・ス・ト・アッ・プ”である。製作依頼先からは「私の方は1円単位のコストダウンを一生懸命やっているのに、トランスより高い部品がさらに倍近くになるなんて・・・。島元さん、貴方は商売をする気があるんですか?」、「ハイ、勿論」なんて言えるような状況ではない。「申し訳ないけれど、我が儘を通させて欲しい」としか言いようが無かった。

こうして理想の音を求め、1年半の開発期間を費やしたALLION Ultimate T-100は完全に出来上がった。利益率の事さえのぞけば、私の心は晴れ晴れとしていた。そして私の胸中には次の企画が沸々とわき始めていた。


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