[ 試聴室(ここは仮で、最終的な試聴室はまだ先になりそう・・・) ]
何回もの変更をへて出来上がった試作機だったが、原価計算をすると販売価格がゆうに80万円を越してしまう。この試作機は同月アメリカのデンバーで開催された、アメリカ最大のオーディオフェアー、ロッキーマウンテンオーディオフェスタにおいて、スピーカーメーカーのフィーストレックス社のデモ用として使用され、現地で2万ドルの真空管アンプを一蹴し、有名な評論家のHPにも掲載された。(フィーストレックス社技術部長、寺本氏談)
いくら音が良いとはいえ、どう考えても新参ブランドのプリメインとしてはリスクが大きい。知り合いの販売店の方などに聞いても同じ意見だった。さんざん考えたあげくたどり着いた結論は、品質(音)を落とさずにコストダウンし、30万円で販売するという、とんでもない目標設定だった。
そんな事が簡単にできるはずがない。当然ながら開発依頼先からは猛反発を喰った。
・ 「究極のプリメインが目標だったんでしょう?」
・ 「ちょっとそれは・・・・」
・ 「出来るわけがないでしょう・・・」
返す言葉がない。全く言われるとおりだ。
最高の音は欲しい、値段は安くなんて、誰が考えても虫が良すぎる。
だがしかし、売れなければ究極もヘチマもない。今までの努力も全て水泡に帰してしまう。
無名ブランドは他を圧倒する品質でなければ売れないし、生き残ることも出来ない。
これは10年以上のFAST販売元として、イヤと言うほど経験してきたことである。
これまでにも、どれほど有名無名のメーカーが生まれては消えてきたことか。
しかも、あるデータによれば、どんなに良い製品でもヒットする確率は5%しかないという。
この後様々なやりとりがあって、結論から言うと回路はそのままにして(実は開発費用も時間もなかった)、何とかコストダウンに挑戦して見よう言うことになったが、どう考えても部品だけで対応出来るコストダウンの幅ではなかった。究極の選択は直販(現在は限定的に取り扱って頂いている)、税込み346,000円の定価販売と言うことになり、再度開発をして貰うことになった。この間の事は、とてもとても簡単に言葉や文章では表せない。依頼先とスタッフの方々には心身共に大変な苦労と負担をお掛けしたのだった。どう御礼を言ったものか言葉さえ見つからないほどで、心の底から感謝!大感謝!である。
そして昨年10月、待望の新製品 ALLION Ultimate T-100 が出来上がった。記念すべき ALLIONNのデビュー作誕生だ。
このあと何社かの雑誌取材が待っていたが、私には一つだけ気になっていたことがあった。