随分長い期間更新もせず恐縮しております。
書きたい”音の達人”は多くても、あまり親しくなるとかえって書きにくいもので、例えばセッティングの名人通称『カースケ』氏。
彼の手に掛かると僅か8㎝のSP、タンデムすらこれ以上何を望むのか?と言うような鳴らし方でみんなを驚かせたりする。
あるいは、僅か1年程のオーディオ歴でB&Wエンファシスや、ティアックP0、シャープSX200を見事に使いこなす北◯氏などなど間違いなく”音の達人たち”だと思う。
今回紹介するTさんはタイトルに有るとおりオーディオ歴35年の筋金入りのオーディオマニアである。
Tさんとの出会いは今年の5月、オーディオ用の電源工事依頼のメールだった。
もともとアンプ自作派でホーンと38㎝ウーハーの4ウエイシステムで、アナログレコードを中心に音楽を楽しんでおられた。
自作派でることから電源の重要性は十分承知されていて、マンションでは電源改善など出来ないと今まで諦めていたところ、某誌で紹介された出水電器のオーディオとシアターの為の電源改善方法で、マンションでも可能と知り【これだ!】と思われたそうである。
見積不要の工事依頼とは言っても、都内でもあり下見と仮配線での試聴をかねてお伺いした。
部屋に入って驚いた。ホーン&38㎝ウーハーで構成された何とも凄い4ウェイシステムやアナログプレーヤーを始め名機が整然と鎮座していたのである。
早速いつもの如く仮配線で、ソニーロリンズの超有名盤「サキソフォンコロッサス」の一曲目「セントトーマス」マックス・ローチのドラムをはじめ50年代60年代のジャズ名盤での試聴となったが、あまりの素晴らしさに2人して時間がたつのも忘れて聴き入っていた。
ホーンシステムは難しいと言われ、上手く鳴らすのは大変と聞いていたがTさんの音は素晴らしかった。
また、TさんはTさんで今まで不満だった所が仮配線による電源強化でそれが解消しその効果に驚かれた。
一時も早くと言うことでその週末に専用分電盤と専用回路工事となった。
工事内容と様子は当HP、【電源物語】の【マンションでの隠蔽配線】をご覧下さい。
工事後のご本人の感想を要約したのが下記文章。
やはりマンションですから、構造的なことは覗いてみないとわからないわけで、ほぼ予定どおりの時間で仕上がったことは、皆さんの頑張りのおかげです。
さて、土曜日にレコードラックを動かして、掃除をして電源をつなぎました。夕方5時ごろ、ちょうどCDをかけはじめたとき、妻が帰ってきました。普段だとかならず「ちょっと音を小さくしてください。」ときっぱりと言われる音量でしたが、その言葉は出てきません。いろいろ取っ換え引っ換え、いろんなCDを聴きました。妻の顔色を伺いつつ、調子に乗って「ローリング・ストーンズ」まで再生してみましたが、セーフでした。傍で遊んでいる息子も、なにも言わずに淡々としています。あきらかに出てくる音の純度が違うのですね。ためしにキッチンの妻のそばに立つと、今までは音の塊が聞こえていたのが、リスニングポジションと変わらない「音楽」が聞こえています。再生中のスピーカーに耳を近づけても、今までのようにざらついた音でなく、とてもクリアな音が聞こえます。音量を上げてもうるさい音は少しも出てきません。また深夜小音量でも、密度の高い再生をします。
オーディオの趣味をはじめて35年にもなりますが、今初めて、出したかった音をきっと出すことができるという、確信を持つことができました。何の妥協もなく、頭でイコライズすることもなく、音楽にひたすら感動できる環境。工事したときには、武骨にも見えた極太のうねる黒いケーブルの束が、今は頬擦りしたいくらい素敵に見えます。所持している膨大なレコードが、みな新品のようになって嬉しい悲鳴です。
後日TさんからFASTのM300IIの試聴依頼が有ったのですが、従来使用されていた某社のアンプと比べてその音の違いにすぐさま購入を予約された。
納品に伺いM300IIを繋いだ音に、またまた聞き惚れてしまったTさんと私でした。
近頃は毎日音楽を聴くのが楽しみで仕方がないとか。