2月の始め、帰宅したら「サッチモ」を紹介した番組(ゲスト 日野輝正)が放送されていた。
サッチモ=ルイ・アームストロングの生い立ちやジャズへの功績、スッキャトの誕生等々、
記録を交えての番組だった。
ゲスト、日野輝正のサッチモとジャズに対する思い入れと語りもさることながら、サッチモのお喋りがまた楽しかった。

例えば、まだ駆け出しの頃、犯罪の巣窟とも言われたスラム街に住んでいたことについて
当時の生活環境はどうだったのですか」と問われ、
         「ミュージシャンに取っては最高の環境だったよ」
      とウィットに富んだ答えで周りを煙に巻き
           「いつ引退するんですか」との質問には
           「君はいつリタイアするんだい」と聞き返し
「あと数年で定年です」との答えに
「君は怠け者だな〜」と切り返した。
さすがに偉大な、そして愉快なエンタティナーである。

晩年、親しい友人に「俺は金持ちになったよ。いつでも食べられるんだ」と傍らの冷蔵庫を開けて見せた。そこには数個の卵と僅かの食料が有ったそうである。
その友人は「君だったらいつでも好きなだけステーキでも何でも食べられるじゃないか」とは言えなかった。
言葉には出来ないほど哀しい、或いは辛い人生がそれだけで金持ちと言わせたのだろうか。

激しい人種差別の時代に、卓越した音楽センスによって多くの人々から愛され支持されたサッチモ。ところが同じ黒人からは白人に媚びていると誤解もされ批判もされた。
しかし「サッチモ」こそ黒人の地位向上に大いに貢献した「フリーダム・ファイター」であった、と番組は結んだ。

アーティストは偉大な存在だと思っているが「フリーダム・ファイター」の名称は素晴らしい。
この日本にもチャップリン、カザルス、サッチモみたいに「フリーダム・ファイター」と呼ばれる感性豊かな、そして何より人間性豊かな芸術家が生まれ、気高き精神のメッセージを発して欲しい。

【フリーダム・ファイター】何と力強い響きを持った言葉なのだろう。
戦争の英雄は星の数ほど知られているのに「自由の英雄」「人権の英雄」がそれほど知られていないのは不思議に思う。

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