オーディオロマン街道

(有)出水電器 島元のブログ

巨匠の涙

[ オーディオロマン街道 ]   2001年10月7日

曲のイントロを聴いただけで涙が溢れ出る、そんな思い出の曲の話。

もう随分前、新聞のコラムに書かれていた話。
名人と言われる落語家が音楽番組にゲストとして招かれ、そこである曲がかけられたとき、
その名人は瞬時に顔をゆがめ、人目もはばからず嗚咽し、滂沱と涙を流したのだった。

落語家がまだ新米で食うや食わずの頃、浅草の劇場で働いていた時の事。
いくら努力しても努力しても、一向に日の目を見ない自分自身が情けなくて絶望の淵にいたとき、何度と無く聞こえてきた音楽があり、その曲に本当に慰められ勇気づけられたという。
たまに耳にすることがあっても曲名も解らず、ずーと巨匠の心に残っていた。
番組は進み、昔の苦労話になった時静かにその曲が流れ、冒頭のシーンとなった。

その時の司会進行及び企画が有名なオペラ歌手、岡村嵩生氏、落語家が圓歌(歌奴)師匠、曲名が[G線上のアリア]だった(と記臆している)。

私の身近での話。

民謡が好きで三味線や尺八も人に教えるほどだったご主人を数年前に亡くされた方が、1枚のCDを持って来られ、この曲を聴かせて下さいと言われた。
芸能山城組の[合唱 刈干切唄]だった。
亡くなったご主人が一番好きな民謡の曲だったとか。
この曲を聴くと涙が出ます、と言ってそっと目頭を押さえられた。

チィゴイネルワイゼンを聴くと涙が止まらないと言う人もいる。
その人は[チィゴイネルワイゼン]にどんな想い出が詰まっているのだろうか?

いろんな人に、いろんな想い出の曲がある。
音楽にはどんな優しい言葉より、どんな雄弁な励ましより、傷ついた心を包み励ます力があるのだと思う。
この曲(歌)を聴くと心が和む、元気になる、勇気が湧いてくる、そんな曲と巡り会いたい。

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