(有)出水電器 島元のブログ

2001年10月の記事

「ツァラツトゥストラはかく語りき」の想い出

[ オーディオロマン街道 ]   2001年10月13日

30年くらい前になるだろうか。何気なく聴いていたラジオの番組で、有名な漫画家が若いとき、雑誌社に何度も何度も作品を持って行ったが、どうしても採用されないどころか全く評価さえされなかった。
そんなある日、喫茶店で「何故みんなは自分の作品が解らないんだろう」と一人嘆いていたとき流れてきたのが「ツァラツトゥストラはかく語りき」だった。

言わずと知れた、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を題材としたシュトラウスの交響曲である。
ニーチェは当時のヨーロッパ文明の退廃を有名な「神は死んだ」と言う言葉で批判し、神に変わるべき「超人」と言う概念をたてた。
ちなみに「ツァラトゥストラ」とはゾロアスター教の開祖の名前である。

この時初めて「憧れを持つ者だけが知る悲しみ」と言う言葉を聴いた。
きっと若き漫画家も自分の世界(漫画)の価値を自負していたのだろう。そしてそれを読者と共有したかったのだろう。。
しかし現実は決して甘くはなかった。理想(自負)と現実の狭間でその漫画家の心は傷つき疲れ果てていた。
ニーチェの言う超人思想と、有るべき(評価されるべき)自分の姿が二重写しになったに違いない。

この時の、人が評価しようがすまいが、自分は自分だ。自分の道を征く。必ず勝って見せる。
その決意が原点となり、月日がたって現在は有名な漫画家となり高い評価を得るようになった。

確かそんな内容の番組だった。
何と言っても30年くらい前の記憶だから、曖昧なところもある。

何気なく聴いたこの時のラジオ番組で「憧れを持つ者だけが知る悲しみ」と言う言葉と、音楽がどれほど人を慰め励ますかと言うことを知った。


絶望の淵に佇む貴方。
じっと目を凝らして見てごらん。
そっと見守る「希望の天使」が見えるはずだよ。

それは愛する家族かも知れない。
心から支えてくれる友人かも知れない。
或いは未来の貴方自身の姿かも知れない。                                                    
        

希望を持とう。
勇気を出そう。
悪戦苦闘の嵐の海を渡るんだ。

貴方なら出来る。
貴方なら必ず勝てる。
                                                                                        いや、絶対に勝たねばならない。

貴方自身の為に。
貴方を見守っている人達の為に。
いつの日か貴方も「希望の天使」になる為に。

巨匠の涙

[ オーディオロマン街道 ]   2001年10月7日

曲のイントロを聴いただけで涙が溢れ出る、そんな思い出の曲の話。

もう随分前、新聞のコラムに書かれていた話。
名人と言われる落語家が音楽番組にゲストとして招かれ、そこである曲がかけられたとき、
その名人は瞬時に顔をゆがめ、人目もはばからず嗚咽し、滂沱と涙を流したのだった。

落語家がまだ新米で食うや食わずの頃、浅草の劇場で働いていた時の事。
いくら努力しても努力しても、一向に日の目を見ない自分自身が情けなくて絶望の淵にいたとき、何度と無く聞こえてきた音楽があり、その曲に本当に慰められ勇気づけられたという。
たまに耳にすることがあっても曲名も解らず、ずーと巨匠の心に残っていた。
番組は進み、昔の苦労話になった時静かにその曲が流れ、冒頭のシーンとなった。

その時の司会進行及び企画が有名なオペラ歌手、岡村嵩生氏、落語家が圓歌(歌奴)師匠、曲名が[G線上のアリア]だった(と記臆している)。

私の身近での話。

民謡が好きで三味線や尺八も人に教えるほどだったご主人を数年前に亡くされた方が、1枚のCDを持って来られ、この曲を聴かせて下さいと言われた。
芸能山城組の[合唱 刈干切唄]だった。
亡くなったご主人が一番好きな民謡の曲だったとか。
この曲を聴くと涙が出ます、と言ってそっと目頭を押さえられた。

チィゴイネルワイゼンを聴くと涙が止まらないと言う人もいる。
その人は[チィゴイネルワイゼン]にどんな想い出が詰まっているのだろうか?

いろんな人に、いろんな想い出の曲がある。
音楽にはどんな優しい言葉より、どんな雄弁な励ましより、傷ついた心を包み励ます力があるのだと思う。
この曲(歌)を聴くと心が和む、元気になる、勇気が湧いてくる、そんな曲と巡り会いたい。


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